メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.11.24この記事の所要時間:約6分

長寿大国日本・・・・・・65歳の平均余命は女性24.38歳。男性19.55歳

厚生労働省が2017年に発表した「平成28年 簡易生命表の概況」によると、2016年の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳で、いずれも過去最高を更新し国際比較では男女とも香港に次いで世界2位となりました。また、死亡率などのデータから、"ある年齢の人々がその後何年生きられるか”を示した“平均余命”をみると、男女とも全年齢で前年を上回っています。

 

65歳の平均余命の推移 出典:平成24年〜28年 厚生労働省「簡易生命表」を基に作成

 

この急速な高齢化の進行に対応し、高齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境を整備することを目的に2013年4月1日から高年齢者雇用安定法が施行され、これまで60歳だった定年が希望すれば65歳までに引き上げられました。

定年と年金支給開始の65歳、それは第二の人生のターニングポイントかもしれません。

仕事人生が終わり、どのような毎日を過ごすのか。漠然とのんびりしたいと考えている人や趣味に没頭したいと思っている人、旅行をしたい人、中には今までのスキルを活かした仕事をリサーチしている人もいるでしょう。

では65歳になった時、余命はどのぐらいあると思いますか?

例えば2016年に65歳だった方の場合、先述の厚生労働省の統計によると平均余命は女性24.38歳、男性19.55歳です。つまり65歳で男性がリタイアした場合、人生を楽しむ時間はあと20年ほどあるのです。65歳……その時、何を思いどのような第二の人生が待っているのでしょうか。

65歳で人生が180度変わった・・・・・・企業戦士から農園長への再就職

 

農園長の田中康浩さん 農園長の田中康浩さん

 

今回取材させていただいた田中康浩さんは43年間企業戦士として働き、65歳で定年を迎えました。二人のお子様がまだ学生ということもあり、教育費などが掛かるため数ヵ月ゆっくり休んだら仕事探しをする予定でした。ところが、「数ヵ月もたなかったんです・・・・・・何もすることがない。趣味もないので時間をつぶすために片道40分もかけて図書館に行っていました。図書館には、私と同じように時間を持て余したと思われる男性たちが多くて驚きました」。43年間働いた後、一ヵ月ほど『毎日が日曜日』生活をした田中さんは、再就職のために新聞の折り込みチラシの求人を熱心にチェックするようになったそうです。そんな中見つけたのが農場の農園長という仕事でした。

現在、田中さんが再就職し社員となった株式会社マックスは人材派遣ビジネスもする会社。田中さんは、マックスが障がい者雇用のために昨年からスタートした自社農場の初代農園長に就任しました。

少子高齢化の今だからシニアの労働力確保が大きなビジネステーマになると考えるマックスでは、自社でのシニア雇用にも取り組み始めました。その一つが自社農園です。販売を目的とした農園ではなく、社会貢献としての障がい者雇用と農園運営でのシニア雇用。この実験的な試みはまだ始まったばかりです。

 

実際に田中さんが働く農園の様子 実際に田中さんが働く農園の様子

 

田中さんの農園長としての仕事は、農地を作るための整地からでした。その後30m×40cmで6レーンの農地ができ上がりました。農業未経験の田中さんは障がい者と一緒に種をまき、水やりをし、肥料を与え野菜を収穫。仕事は農園の管理だけではなく働き手である障がい者の雇用管理もあり、最初はうまく行かず悩む日々だったそうです。自分の息子と同じぐらいの知的障がい者がいたずらをしたり、想定外の行動をとったりすると、「なぜこんな事をするの?」という想いが募り、お互いにわかり合えない毎日が続きました。

そんなある日、べったり指導するのではなく見守りながら距離を置いての指導に変えてみると、今までの苦労が嘘のようにすべてがうまく回りだしたそうです。始業時間は8時。終業時間は15時。この勤務時間も農園長の仕事に決めた理由だったそうです。「サラリーマン時代と違い15時に仕事が終われば、時間が有効に使え病院にも行けるし、家族と買い物に行ったり家事を手伝ったりもできます」とにこやかに話す田中さん。

65歳のターニングポイントで新たな世界へ飛び込んだ田中さんは、充実した時間の使い方をしつつ日々を楽しんでいました。
田中さんのようにリタイア後に時間を持て余し、再就職を考える65歳。現在、その雇用状況はどのようになっているのでしょうか。

 

シニア雇用の現実は・・・・・・

65歳男性の余命は統計としては約20年。充実した日々を送るためには老後の資金を多めに用意しておくに越したことはありません。平成28年に行われた総務省統計局の調査によると、高齢者世帯と世帯主が65歳未満の世帯と比較すると、「保健医療」が1.69倍と大きな割合を占めているという結果も出ています。生活費の他、急な病気やケガ、持病を治療していくには、膨大な医療費が必要になるかもしれません。そのためにも働ける体力と気力があるうちは仕事をしたいと考えるのは当然です。
シニア雇用について企業はどのように考えているのか、人材ビジネスに携わるマックスの人事総務責任者の塚原康之さんに伺いました。

 

株式会社マックスの塚原康之さん シニア雇用の課題を語る塚原さん

 

塚原さんは企業の人事担当者と話す機会も多い中で、若い人たちは少子高齢化で仕事先は引く手あまただが、シニアのマーケットは残念ながらほとんどできていないといいます。その理由を伺うと「世の中の価値観も法律上も65歳以上は働くイメージがないのでは。長年培ってきたキャリアを活かす仕事はほとんどなく、シニアのできる仕事としてマンションなどの管理人か清掃関係などと決めつけているのではないでしょうか。人材派遣をしていて思うことは、思っている以上に年齢差別も多い。それはシニアに対するイメージが旧態依然だからではないか」と話します。

少子高齢化の今、国内で労働力を確保するには企業もシニア雇用のあり方を真剣に考えなければいけない時代に来ているのではないでしょうか。
塚原さんはそのためには雇用パターンを多様化させる必要があり、早く出社する、遅く出社する、短い時間だけ働く、在宅で働くなどダイバーシティを作ることが大事ではないかといいます。

 

セブンーイレブンと自治体がタッグを組みシニア雇用

少子高齢化で労働力が不足している今、働く意欲のある高齢者が能力や経験を活かし、年齢にかかわりなく働くことができる生涯現役社会を目指すことが重要となっています。

そんな中で株式会社セブン-イレブン・ジャパンでは、2013年から福岡を皮切りに、自治体と共同で仕事説明会を開催しシニアの採用を進めています。この試みによって来店する高齢者と働く高齢者の交流が生まれているそうです。高齢化社会になりコンビニを利用する高齢者も増え、同世代がお店で働いていることで会話を通じて安心感が生まれているといいます。

さらにシニア世代は人生経験も豊富で、責任感や仕事の丁寧さ、時間の正確さなどシニアならではの強みがあり、他の従業員さんの手本となることも多いそうです。

セブン-イレブンなどのシニア雇用は、高齢者だからと雇用を躊躇している企業に働く意欲があれば年齢は関係ないと一石を投じるかもしれません。

企業へのシニア雇用の働きかけとして東京都中央区では、働く意欲のある高齢者の人々が、年齢にとらわれず培った知識や経験を活かしていつまでも働ける就労環境を整備するため、高齢者雇用を積極的に行う事業主に対して高齢者雇用企業奨励金を交付するなどして高齢者雇用への取り組みも始めています。

少子高齢化により企業が抱える人手不足を解消するためにも必要となるシニア世代の労働力。まずは「高齢者だから」といった固定観念を取り払い、仕事をするのに年齢は関係なく企業の雇用の基準も時代の変化に合わせて変わらなければいけないのではないでしょうか。

第二の人生のターニングポイント65歳。

働くことは将来へのお金の不安を少しでも減らすこともありますが、社会とのつながりや生きがいを持つことにもつながります。高齢化社会を迎えた今、まだまだ働きたいと考えるシニアに向けて多くの企業が柔軟な対応を行う必要があるのかもしれません。

 

 

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Posted: November 24, 2017