メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2018.5.18この記事の所要時間:約7分

「ねんきん定期便」の内容を確認せずに捨てていませんか? 開封してチェックしよう!

毎年、誕生月に届く「ねんきん定期便」。ちゃんと中身をチェックしていますか?
開封したけれど、どう読めばいいかわからないという方、怖くて開けてすらいない、または、中身を見ずに捨ててしまったという人もいるのではないでしょうか。老後のお金は、若いうちから把握しておくことが大切です。

今回は社会保険労務士でありファイナンシャルプランナーの中村薫さん(以下、中村さん)に、「ねんきん定期便」の読み解き方と老後の備えについて聞きました。 

 

社会保険労務士でありファイナンシャルプランナーの中村薫さん 社会保険労務士でありファイナンシャルプランナーの中村薫さん

 

「『ねんきん定期便』は日本年金機構から原則として毎年、ハガキで届きます。年金手帳をお持ちであれば挟んでおくとなくさずにすみますよ。35歳、45歳、59歳のときに封書の『ねんきん定期便』が届き、その節目が来たら古いハガキは処分してもよいですが、それまでは保管しておきましょう」

まず「ねんきん定期便」を自分の記録として残しておくという意識が大事だそうです。次に、年金についての基礎知識を伺いました。

「公的年金は国民年金、厚生年金の2種類があり、その人の働き方により加入する(していた)年金制度が決まっています」

 

国民年金、厚生年金の2種類

 

「日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が国民年金に入り、さらに会社員や公務員は厚生年金にも加入することになります。また、国民年金は『第1号被保険者』『第2号被保険者』『第3号被保険者』に分かれています。簡単に言うと、第1号被保険者は自営業者等、第2号被保険者はサラリーマンや公務員、第3号被保険者は第2号被保険者の配偶者(年間収入が130万円未満の人)のこと。例えば、男性サラリーマンの場合、厚生年金に加入し、自動的に国民年金(第2号被保険者)にも加入していることになります。妻は夫がサラリーマンで専業主婦の場合は国民年金(第3号被保険者)、夫が自営業の場合は国民年金(第1号被保険者)に加入していることになります」

働き方により加入している年金が違うので、自分がどの年金に加入しているのかをまずは確認しましょう。
そこで「ねんきん定期便」を開封したらどの部分をチェックしたらよいのかを中村さんに聞きました。

「『ねんきん定期便』を開いたら、『これまでの加入実績に応じた年金額』の欄を見てください。老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つがあります。老齢基礎年金とは国民年金保険料を納付している人が65歳から受け取れる年金のことで、老齢厚生年金とは厚生年金に加入していた人が65歳から受給できる年金のことです。会社員であれば、この合計額が老後1年間でもらえる額となります」

 

老後1年間でもらえる年金額 50歳未満の方の「ねんきん定期便」(29年度)より (1)と(2)を足した合計(赤丸で囲った数字)が、老後1年間でもらえる年金額

 

合計額を見ると、予想以上に少ない額が書かれていて不安になる方も多いかもしれません。この場合、どう読み解けばいいのか中村さんに聞きました。

「思ったよりも少ないと思われた若い方は、不安がらなくてよいですよ。年金は納付額と期間によってもらえる額が変わります。50歳以前の若い世代は、額と期間ともに実績が少ないため、現状の保険料支払い実績を適用した年金額が表示されています。一般的には、これから収入が増え、働く期間も長くなるので、年金額が増えることが多いのです」

それでは、50歳以後はどのような点をチェックすればよいのでしょうか?

 

50代向け、詳細な『ねんきん定期便』の読み方

「年金は20~40代までは少なめに表示されますが、50歳を超えると『ねんきん定期便』の仕様が変わって、詳細な数字が表示されます」

 

50歳以上の方の年金の1年間の受取見込額 50歳以上の方の「ねんきん定期便」(29年度)より

 

「詳細な表に慣れるまでは、とまどうかもしれませんが、まず、図の赤い枠で囲った受給開始年齢と、国民年金と厚生年金の合計受給額をチェックしましょう」

例えば、役職定年があるケースもあります。その場合、年金額はどのようになるのでしょうか。

「役職定年のある会社にお勤めの場合は、1つ注意があります。今、55歳くらいで役職定年になりますが、50歳以降の『ねんきん定期便』はその時点の報酬が続くことを前提としています。役職手当がなくなることにより50代中盤から給料が減額となるケースがあるので、記載されている年金額よりも下がる可能性があります。その点を考慮しておかないと、後で慌てることになりますのでお気をつけください」

「ねんきん定期便」で見込額をチェックした後は、どこをチェックするべきでしょう?

「次は、裏面の『最近の月別状況』です。会社員の場合は、厚生年金保険料がいつ、いくら納付されているかが記載されています」

 

最近の月額状況 「ねんきん定期便」(29年度)より 「最近の月額状況です」の中の赤線で囲んだ部分に、月収と賞与、それぞれの保険料納付額が記入されている

 

「標準報酬月額、標準賞与額、保険料納付額の欄がありますが、標準報酬、標準賞与の額が、実際の報酬・賞与額とかけ離れていないかを確認しましょう。年金の納付額はその年の4月、5月、6月の給与の平均値によって、毎年9月に決定します。もしかして、標準報酬月額が変わったのに会社が届け出を忘れていたり、手違いがあったりする可能性もあります。給料(額面)と標準報酬月額が数万も違っているようであれば、自分の居住地の年金事務所に確認してみるとよいでしょう。納付額が少ないともらえる年金額も変わるので、面倒だからとそのままにするのはおすすめできません」

年金はいくら稼いだかによってもらえる額が変わります。給料などの収入をもとに算出される標準報酬月額や標準賞与額がいくらなのかは『日本年金機構』のサイトに載っていますので、そちらで確認するとよいそうです。これは現在の納付についてですが、もし、過去の分についても自分がきちんと支払っていたかどうか気になる場合はどうしたらいいのか、中村さんに聞いてみました。

「その場合は『これまでの年金加入期間』の月数を見てみましょう。記載された月数が、実際に働いていた期間と違う場合は、年金事務所に確認しにいくとよいですね」

 

年金は老後の備えだけでなく、万が一のときに守ってくれるもの

では「ねんきん定期便」をチェックして、もらえる年金額が少ないとわかったときは、どうすればよいでしょうか。

 

年金額が少ないとわかったときの対処法について語る中村さん 年金額が少ないとわかったときの対処法について語る中村さん

 

「予想よりも年金が少なかった!という場合、これから年金の受取額を増やすためには、3つの方法があります。収入を増やす、働く期間を伸ばす、65歳で受け取らずに70歳まで据え置きにする、このいずれかです。能力をアップして稼ぐか、長く勤めるかになります」と中村さんは3つのポイントをあげてくれました。

年金が少なかった場合の対処法
①収入を増やす
②働く期間を延ばす
③65歳で受け取らずに70歳まで据え置きにする

「それ以外は、今から貯金を始めるのも大事ですし、今の暮らし方から老後の生活費を割り出してライフプランを作成しておくと心の準備ができるのでおすすめです。また、退職金を一括で受け取ると油断してつい使ってしまうのが心配な方は、分割での退職金支給が可能であれば、それを選ぶという方法もあります」

いずれにせよ、今から老後のことを考えるためにも、毎年「ねんきん定期便」を開いて中身を確認し、対策を立てておいたほうがよさそうです。
もらえる年金額が低く出てしまうと、ちょっとがっかりするかもしれませんが、年金は老後だけでなく、他にも受け取れる場合があるので頼りになりますよ、と中村さんは言います。

「いざというとき、障害年金、遺族年金を受け取れるという利点もあるのです。万が一、病気やけがにより生活や仕事などが制限されるほどの重い障害を負ってしまった場合には、若くても障害年金が受け取れます。また、年金の被保険者が亡くなったときに、その方によって生計を立てていた遺族は遺族年金を受け取れます。例えば、世帯主を亡くした、お子さんがいる配偶者の場合ですと、お子さんが18歳になるまで遺族基礎年金を受け取れます。夫が厚生年金加入中の死亡の場合は、上記に加え遺族厚生年金も受け取れます。これは心強いですよね」

老後だけでなく、万が一のときにもバックアップしてくれる年金制度。年金をよく把握して、将来に備えておくことが大事です。まずは「ねんきん定期便」を開封して、中身をチェックすることから始めましょう。

 

中村薫さん

 

<中村薫さんプロフィール>
東京都生まれ。なごみFP・社労士事務所代表。日本FP協会 東京支部運営委員。都内の信用金庫に3年ほど勤務した後、大手生命保険会社の営業に携わる。その後、損害保険の代理店業務を開始しAFPを取得後、独立。CFP、FP技能士1級のほか、キャリア・コンサルタント、社会保険労務士、宅地建物取引士などの金融以外の資格も取得。独立系FPとして、相談者の夢や生き方、希望を尊重し、業界に偏らない総合的な手立てを一緒に考えるよう心がけている。
著者は『お一人様かも?と思ったら始めるお金計画』(学研パブリッシング)など。

 

 

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Posted: May 18, 2018