メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.9.29この記事の所要時間:約6分

大人が大学で学ぶことで、得られるものは何か

近年、生涯学習や大人の学び直しといった言葉を耳にする機会が増えましたが、年齢を重ねた今、実際にはどのような方法で学べばよいのか、学ぶことにより何が得られるのか、今からスタートして遅くはないかと、さまざまな疑問がわき出てきます。そこで、日本で初めてインターネット学習のみで卒業することができる大学として設立された八洲(やしま)学園大学(2004年開学)の学長、および学校法人八洲学園理事長である和田 公人(わだ・ひろひと)さんに、生徒さんたちの様子や、あえて大学で学び直すことの意義を教えていただきました。

本能に近い「学び」への欲求を満たす、インターネット大学

和田さんが学長を務める八洲学園大学には生涯学習部が設置されており、とりわけ社会人・シニア世代への学習機会提供に力を入れています。同大学へ入学するシニアの目的は、趣味や生きがいの一部として勉強をしたいという方から、若い頃にかなわなかった、大学で学ぶこと、大学を卒業することを目的としている方までさまざまです。

「『学びたい』という気持ちは本能に近く、誰でも知りたいものを知りたい、いくつになっても学びたいという欲求を持っています」と和田さん。例えば、仕事で忙しい時期を過ぎ、定年後に時間の余裕ができたから、やりたかったけれど今までできなかったことに挑戦する。その「やりたかったこと」が囲碁やマラソンだという方も居れば、勉強だという方も居るのです。

また、定年を迎えた団塊の世代の方が学生だった当時の大学進学率は15〜20%前後にとどまっています。さらに、学生運動真っ盛りの時代であり、進学したものの十分に勉強できなかった方も多い世代です。大学に行けなかった、行ったけれど勉強できなかったと後悔し続けており、定年を機にやはり大学で学ぼうと考えて、八洲学園大学の門をたたく方も結構いらっしゃるのだとか。

また、子どもが巣立ち、やっと自分のための時間ができたタイミングで心置きなく学ぶために入学を希望される主婦の方も多いそうです。

今は特に新設の大学の多くがインターネットを利用した教育(eラーニング)を取り入れている時代です。学習においてインターネットを利用する最大の利点は、地域格差に阻まれることなく学べる点です。居住地にかかわらず希望の大学に入学することができるため、八洲学園大学には海外在住の方も在学されているそう。また、スクーリング(通信教育を受ける学生が、教員と対面して学ぶ授業)の会場に通う必要もないため交通費や宿泊代がかからず、生徒側の費用負担が軽く済みます。

以前は、社会人になってから大学進学を望んでも、費用や時間の捻出が困難でしたが、通信教育、しかもすべてインターネットで学べる大学が出てきたことにより、入学・通学のための敷居が低くなったのです。

 

インターネット大学を利用して自宅で学ぶ、シニア世代の学生

 

通学の手間がないインターネット大学は、シニア世代の学生も多数 

 

学びたかった方にとっての学習チャンス=空腹時の食事。よりおいしく、満たされる

授業はすべてインターネットで行うといっても、ライブ配信で行うスクーリングやいわゆる”オフ会”=オフラインミーティング。インターネット上で知り合った人が、実際に会って交流すること)的な集まり、卒業式などを通じて、和田さんの下にも生徒の声が直接聞こえてきます。中でも、シニア世代の生徒さんたちは、共通して「すごく楽しい」と話すのだとか。その背景について和田さんは、「本学は、心の底から学びたいと感じて入学される方が多いため、知的欲求が刺激され、十分に満たされるようです。先ほどお話ししたように、学ぶことは本能に近いものがあります。とてもお腹がすいているときの食事が、とびきりおいしく感じられるのと同じですね」と教えてくれました。

八洲学園大学ではプラチナエイジ(50歳以上のシニア)割引を行っており、通常は1科目ごとに受講料が必要となるところ、シニアは一定額を支払うと“学び放題”になります。「学習意欲が高く、時間に余裕があるシニアが、思う存分学びたいだけ履修すると金額がかさんでしまいますからね。若い方もたくさん在学されていますが、『生涯学習』を掲げる大学としては、シニア世代に広く学ぶ機会を提供することも大切な目的の一つです」と和田さん。

また、現役社会人の方は卒業ではなく、仕事に使えそうなスキルや資格取得を目的として、通信制大学を利用するケースもあります。八洲学園大学では図書館司書や博物館学芸員資格の取得が人気だそう。社会人は、土日や夏休みの集中講座を活用し学ぶことになりますが、卒業を目指すとなると4年間では難しいというのが実情です。多忙な方は、もう少し余裕を見て7〜8年(八洲学園大学の場合は最長12年在籍可能)かけて学ぶ心構えを持つと、仕事との両立も現実的です。まずは仕事に役立つ科目だけを履修し、定年を迎えたら、趣味・教養的な科目を楽しみながら学んで、ゆっくりと卒業を目指すという形でもいいですね。

人に伝えるための理論が身に付き、自分のための「居場所」ができる

何かを学ぼうと考えたときに、ほかの通信講座やカルチャースクールではなく、あえて「大学」を選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。「まず一つは、学問として体系的に学べること。50歳、60歳まで生きてきた方は知識も経験も豊富だけれど、その知識を体系的に整理する機会はあまり多くありません。『せっかく今まで経験し学んできたことを誰かに知らせたい』と望んだときに、学問の後ろ盾があれば、しっかりと理論立てて伝えることができるのです」と、和田さんは話します。「例えば本が好きで山ほど読んで来た方も、さらに趣味が高じてくると図書館学を勉強したくなるようですね。このように、一般教養的なことであっても、大学の学問は雑学とは異なります。その部分を知りたい、学びたいという方には大学での学びが適しています」。

また、同じ科目を履修し、共通の目的や知識がベースになった学生同士のディスカッションは、日常では得られない知的な刺激をもたらします。さらに、大学で得た知識や人脈を、趣味の活動やボランティアに生かすことも十分に考えられます。

日々、数多くのシニア大学生と接している和田さんは、さらにもう一歩踏み込んで「学生であること」自体にも価値を見い出しています。「学生になれることそのものが心地良いという側面があります。特にリタイア後はどこにも所属していない方がほとんどですから、それだけでも入学する意義がありますね」。

大学生である、高校生であるということは、そのコミュニティに所属し、確かな居場所が保証されているということでもあります。最後に学校を卒業してから何十年も経過し、二度と戻れないと思っていた居場所に再び戻ることができる。これが大学で学び直すことの一番の喜びかもしれません。和田さんはこう続けます。「再度大学生になった瞬間に学割が使えたり学生証が持てたりする。コンピューターのソフトも映画も美術館もすべて学割が効くんです(笑)。みなさん口をそろえて、『それだけでも楽しい』とおっしゃるんですよ」。

学びたいと感じたときこそが、学びどき。大人の学生生活はのんびりペースがちょうど良い

「学びたかった」後悔を取り返したい、新しいことを知りたい、知識を誰かに伝えたい。多種多様な知的欲求を満たしてくれるインターネット大学は、通学制の大学と同じく、自分自身の確固たる「居場所」を作るチャンスでもあります。

「いつでも、何歳になっても『学びたいな』と思ったときがはじめどき。『大学だから』と堅苦しく考えずに、まずは半年1科目だけ受けてみるなど、趣味の一つと思って気軽に学べばいいと思いますよ」と話す和田さん。最近ではご自身も、若い頃に習得したプログラミングに再度取り組んでいるのだとか。「しばらく手を動かしていないとダメやね」と謙遜するものの、その笑顔からは心から楽しんでトライしている様子がうかがえました。

大学での学びは何歳からでも遅すぎることはありません。しかし、「もうトシだから手遅れかな」「今からじゃダメだよね、でも……」と、迷っているその時間はもったいないもの。特に卒業を目指す場合は時間が必要になります。思い立ったらまずチャレンジ。お試し気分で学び始めて、ゆっくりのんびり自分のペースで送る大学生生活は、老後を、そして人生そのものを楽しむ大きな糧となりそうです。

<和田公人さん プロフィール>
和田公人(わだひろひと)
学校法人八洲(やしま)学園 理事長 / 八洲学園大学 学長 / 学校運営機構 取締役 / 株式会社イノーヴインタラクティブ 代表取締役

1960年生。協和銀行(現りそな銀行)を経て、1984年から学校法人八洲学園に奉職。八洲学園高等学校東京本部長、同校長、日本初の合宿型(短期集中型スクーリングの単位制)の広域通信制高校・八洲学園大学国際高等学校の校長を歴任。2001年学校法人八洲学園理事長就任。2004年八洲学園大学開学、学長に就任。
八洲学園大学のウェブサイト  http://www.yashima.ac.jp/univ/

 

 

ニュースレター購読をすると読める、福岡伸一さんのプレミアムコンテンツ

資料請求、保険料シミュレーション、保険のプロへのご相談なら

メットライフ生命公式サイト

Posted: September 29, 2017