メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2018.2.23この記事の所要時間:約5分

デリケートな悩みだからこそ、知りたい「尿もれ」

人に相談しにくいものの、多くの人が悩んでいる「尿もれ」。
症状がない人には軽く考えられがちですが、実は生活の様々なシーンに影響が大きく、年齢を重ねるにつれQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を悪化させる原因にもなりかねません。

「尿もれは男女ともに40代以降に増えてきます」

と話すのは、日本大学医学部泌尿器科学系 主任教授の髙橋悟先生(以下、髙橋先生)です。
人生100年時代と言われる時代、アクティブなシニアライフを迎えるためにも知っておきたい、尿もれの原因や予防法についてお聞きしました。

 

髙橋悟先生

 

尿もれの原因は?

そもそも尿もれはどうしておこるのでしょう?

「尿もれ(尿失禁)とは、自分の意志に関係なく尿がもれてしまうことですが、男女共通の要因として挙げられるのは『過活動膀胱』です。正常な膀胱の大きさでは250ccくらい尿を貯められるのですが、過活動膀胱になると十分に尿が貯まっていないにもかかわらず突然尿意を感じてしまうのです。有病率に男女差はなく、40歳以上の人の12.4%で推定患者数810万人、80歳以上では3人に1人と言われています」

突然、我慢できないほどの尿意に襲われる過活動膀胱。実際に尿もれにまでつながるのは特に女性に多いそうですが、これは、男女の解剖学的構造の違いによるものだと髙橋先生は言います。

 

男性と女性の尿道と尿道まわりの構造 画像提供:ユニ・チャーム株式会社 尿もれケアナビ

 

「女性の尿道は約4㎝と短いのですぐに尿もれまでいってしまい、これを『切迫性尿失禁』といいます。女性の場合は、咳やくしゃみなどお腹に力が入ることで尿がもれる『腹圧性尿失禁』も多いのですが、過活動膀胱に伴う切迫性尿失禁は腹圧性と違い、お腹に力が入るなどの要因とは関係なくいつ起こるか予測できないことと、もれる量が多いのと、いつ起こるか予測できない点で患者さんのQOLを大きく落としてしまうのです」

髙橋先生によると、10人の尿失禁患者のうち5人が腹圧性、2人が切迫性、そして3人が両方を併せ持つ「混合性」という割合で、実に半数が切迫性尿失禁に悩んでいるのだそうです。さらに男性も悩む尿もれがあります。

「男性は尿道が長いので、もれるまでいかなくてもトイレが気になって仕方がないという人は多く、前立腺肥大に伴う過活動膀胱(前立腺肥大患者の約半数が該当する)ならば尿もれにもつながります」

 

尿もれの不安があると、生活を心から楽しめない

では尿もれがあると、生活にどのような支障が出てくるのでしょう? 

「まず、生活に制限が多くなり、何をしていても心から楽しめないということがありますね。
旅行に行っても常にトイレのことを気にしていたら、嫌ですよね」

例えばバス旅行では1時間半に1回ほどのトイレ休憩が設けられていますが、その前に行きたくなってしまうので気が気ではなく、これでは景色を楽しむ余裕もありません。次第に旅行に出ること自体が憂鬱になり、外出も控えがちになってしまうのだそうです。

さらに、髙橋先生は次のように続けます。
「趣味のスポーツや登山なども、ほんのワンステップ踏み出した瞬間にもれることがあるので敬遠するようになる人も多いんです」

シニアライフではこれまでできなかった趣味を存分に楽しもう、と思い描いていても、「尿もれ」の不安が、それをさせてくれないかもしれません。

 

尿もれが趣味に影響を及ぼすこともあると語る髙橋先生 尿もれが趣味に影響を及ぼすこともあると語る髙橋先生

 

尿もれ予防には、減量と骨盤底筋体操

では、尿もれはどうしたら予防できるのでしょうか?
髙橋先生自身も、尿もれ予防のために心がけていることがあるそうです。

「男性も女性も尿もれを予防するには、まずは減量。太っていると膀胱の上に漬物石が乗っかっているようなもので、腹圧がかかり尿が出やすくなってしまうんです」

その上で、誰でも簡単にできるという骨盤底筋体操を教えてもらいました。

「骨盤底筋体操は、過活動膀胱にも腹圧性失禁の治療にも有効ということがわかっており、男女ともに予防効果も期待できます。」

 骨盤底筋体操

 ①あお向けに寝て、膝は肩幅に開いて立てる

 ②肛門と尿道(女性は膣も)をギューッと5秒ほど締めて、緩める。これを1回として、1日60回以上行う。

 

骨盤底筋体操 画像提供:ユニ・チャーム株式会社 尿もれケアナビ

 

「横になって行うのは、腹筋に力を入れずリラックスできるから。ちゃんとできているかわからなかったら、指を添えて肛門や、女性の場合は膣も、しまっているかを確認しながら行いましょう。馴れてきたら応用編で、横にならなくても、いつでもどこでも行ってください。電車の中や仕事や家事の合間にもできると思いますよ」

 

男性が悩む「ちょいもれ」にも効く骨盤底筋体操

実は骨盤底筋体操は、男性が悩むもう一つの尿もれにも効果があるんだそうです。

「男性特有の尿もれの悩みに、排尿後に時間差で尿がもれる『ちょいもれ』がありますね。正式には『排尿後の尿滴下』と言って、尿失禁ではなく、排尿後に尿道括約筋よりも末梢の部分に残っている尿が出てしまうもの」

ズボンに染みてしまいトイレから出るに出られないなど、困っている方は多いそうです。

 

尿が残りやすい場所 尿が残りやすい場所 画像提供:日経グッデイ

 

「男性の尿道は根元がS字クランクのように曲がっていて、その部分に残った尿が、後からジワーッと出てくるのが『ちょいもれ』。若いうちは勢いで全て出た尿が、加齢や前立腺肥大などで初速スピードが遅くなるとS字クランクのところに残ってしまうんです」

この症状は、男性の性機能が落ちてくる50代前半くらいから多く見られるそうです。

「ポイントは球海綿体筋と言う尿道の周りを取り囲んでいる筋肉。勃起したときにまっすぐ直立させ、射精した瞬間に精液に勢いをつける働きをするんですが、その筋肉が衰えることで『ちょいもれ』がおきてしまうんです。でも球海綿体筋は骨盤底筋に付属する筋肉なので、骨盤底筋体操をすると球海綿体筋も収縮し、一緒に鍛えられますから、ぜひやってみてください」

加齢とともに誰もが不安になる「尿もれ」は、外出やスポーツなど体を動かすことを遠ざける生活にも陥りがちです。健康に過ごすことで将来の医療費を節約するためにも、減量と骨盤底筋体操で尿もれを防ぎ、はつらつとしたシニアライフを目指しましょう。

 

髙橋悟先生

 

<髙橋悟先生プロフィール>
日本大学 医学部泌尿器科学系 主任教授 日本大学医学部附属板橋病院 副病院長 泌尿器科部長
大学卒業後、日本と米国の病院で泌尿器科診療の経験を積み、2003年には天皇陛下の前立腺がん手術を担当する医療チームの一員に加わる。2005年より日本大学医学部附属板橋病院にて現職。
日本泌尿器科学会専門医・指導医
下部尿路症状治療のガイドラインの作成委員も務める。
著書に『スーパー図解 女性の頻尿・尿失禁』(法研)、『よくわかる前立腺の病気』『40歳からの女性の医学 骨盤臓器脱』(岩波書店)など。共著・監修多数。

 

 

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Posted: Feburary 23, 2018