メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2018.11.9この記事の所要時間:約4分

パッチワークとは、端切れ布を縫い合わせたもの。キルトとは、表布と裏布の間にキルト綿をはさんで、三層に縫い合わせたもので、この縫い合わせる作業をキルティングと言います。この2つの技法を組み合わせ、端切れ布を縫い合わせた布に、キルティングを施したものをパッチワークキルト(以下、キルト)と呼びます。その醍醐味は、布の持つ魅力を生かすように配置しながら、さまざまな素材を一つのデザインにして作品を生み出し表現する喜びにあります。

そんなキルトと人生は似ていると話すのは、キルト教室「La Clochette」を主宰し、日本を代表するキルト作家の一人である小関鈴子さん。人々を魅了するキルトを作り続ける小関さんに、好きなことが人生に与える影響について教えていただきました。

キルトのことは全く知らなかった。好きで飛び込んだ趣味の世界

もともとはキルトも知らなかったという小関さん。意外にもキルトとの出合いは、結婚後、立て続けに3人出産し、子育てが一番大変だった時期でした。子どもたちは言うことを聞かない、育てる方法も分からないという毎日。何だか息苦しい、食事も作れないと次第に寝込むようになってしまいます。「育児ノイローゼ」という言葉もなかった時代、医療機関からも納得のいく答えが得られず、体調不良が続きました。

 

小関鈴子さん

 

「これではいけないと思い、好きだった手芸を習いに行こうと考えました」。そして偶然、キルト教室の広告を見つけ、外出がつらくても好きなことをやってみたいという気持ちが勝り、通い始めたそうです。

「それが、とてもとても楽しくて。針を持って縫うということがとにかく楽しかったことを覚えています。キルトをしたいから、先に家事を済ませようと考えるようになりました。家事を手早く済ませてしまえば、自分の時間が作れるなと」

とにかく夢中になった小関さん。家事も育児も自然と捗るようになり、体調も回復していきます。

そんな調子で好きなキルトを続けているうちに、小関さんは精神面だけでなく、生活の実用的な部分でも、キルトがポジティブに作用することに気づきます。「子育てだけではなく、自分自身のことも考えるようになりました。まずは自分を大切にしなければいけないから、好きなことをしよう。家事も育児もどんどんこなせば、楽しみの時間が持てるようになる」と前向きに考えるようになり、教室に通いながら自分の好きなものにエネルギーを向けた結果、講師に抜擢されます。

60歳を越えて起業。2つの夢を叶えたかったから

講師となって20年、小関さんは夢中で働き続けたそうです。そして60歳を過ぎてから独立。「このままキルト教室で講師をしていたら、自分の夢は叶わないと思いました」

小関さんには「自分の教室を作りたい」という夢と「本を出版したい」という2つの夢がありました。すでに書籍は出版していたので、60歳になるのを契機にキルト教室を辞めて、キルト教室「La Clochette」を立ち上げる決心をしたそうです。

長く働いた教室からの独立は、普通なら非常に勇気がいるものです。しかし「独立の不安や苦労はありませんでした。忘れたのかな」と小関さんは笑いながら振り返ります。“La Clochette”はキルト教室を辞めた仲間で作った教室だそうです。

「人に恵まれました。大変なこともあったけれど、みんなが一生懸命でした。一人では絶対にできませんでしたね」。良い作品を作るから、自分が看板になるから、そして何より仲間に支えてもらえるから前へ進んでいける。独立当初から現在まで「先のことだけを考えてきた」と常に前向きな小関さん。後ろは振り返らず、前だけを見て進んできたそうです。

キルトを始めて人生が180度変わった。一歩を踏み出す強い思い   

今では物事をポジティブに捉えている小関さんも、以前は人見知りが激しく、子どもの頃は友達と集まっているときも下を向いて一言も話せなかったそうです。先述の通り、子育てに悩み、自宅で寝込む時期もありました。「それがキルトを始めて180度変わりました。キルトの仕事で大勢の人と会うようになり、今は自ら催事にも出かけます。出て行った先には、新しい発見があります。不思議と仕事も増えます。一人で殻に閉じこもっていたら、前へは進みません。人と関わりを持つことが、仕事や人生に良い影響をもたらしてくれることに気づきました」

 

小関鈴子さん

 

何かの行動をおこすきっかけは、強い思いです。「子育て中を振り返ると、自分の中の理想の母親像にとらわれて、余裕もなかったのでイライラしていたのだと思います。でもキルトに夢中になったおかげで視野が広がり、余裕が持てるようになり、人生を楽しむためには、好きなことを我慢しないことが大切と思えるようになりました。興味があれば、とりあえず参加してみること。なぜなら体験しないとそのものの価値はわからないからです」と、体験の重要性を語る小関さん。

ご自身の経験を振り返り「実際に体験してみると、頭で考えていただけの時とは全く勝手が違うこともあります。そこで気づきが生まれ学びを得て、人生が楽しく彩られるのかもしれません。さらなる心の“遊び”のために、キルトの他にもう一つ没頭できることを持つことが大切だとも思っています」と言います。

「さまざまな状況に自分を置くことによって、また違った観点から物を見ることができるようになるので、冷静に考えることができます。色んな楽しみを知っているから、自分を大事にできて人に親切になれるのかもしれませんね」。

人生はキルト。一つ一つ積み重ねて前に進んでいく

「人生は時間の積み重ね、キルトも一針一針の積み重ねです」という小関さんは、生徒さんの針目が乱れていたら、そのまま続けるように言うそうです。
「針目が乱れていても、それが個性になります。失敗しても戻ってやり直すことができるし、完璧なものでなくてもいい。人生はキルトと似ているかもしれませんね」。単純な作業の繰り返しが、その人独自の個性を表現することになったり、時にドラマチックな変化をもたらしたり。好きなことをしながら自分らしく、その積み重ねが味わい深い作品を生み出すそうです。

 

一針の積み重ねが作品になる 一針の積み重ねが作品になる

 

「自分を一番大事にするために、まずは好きなことを見つけて活動します。心に余裕が持てたら、人に優しくなれるかもしれないですし、新たな人の繋がりや絆が生まれていきます。私にとって、人間関係が自分自身に与える影響力は大きく、良い関係性を築くことが人生の豊かさにつながると思っています」

私たちのまわりにある課題も、一人では解決できなくても、支えてくれる仲間がいれば解決できるかもしれません。成功体験はしっかり記憶して、失敗を恐れるのではなく糧にして前に進めばいい。良い人間関係に恵まれ、たくさんのチャンスが訪れるようになれば、自分だけでなく多くの人たちと幸せを共有できるのかもしれません。

 

小関鈴子さん

 

<小関鈴子さんプロフィール>
キルト作家。東京生まれ。文化服装学院卒業。1987年チャックスパッチワークスクールに入学。野原チャック氏に師事し、キルトの道へと進む。「La Clochette」主宰。東京国際キルトフェスティバルにも出展しつづけている、日本のキルト界を代表する作家の1人。「東京キルト&ステッチショー2018」では、作品の展示のほかにコンテストの審査員も務めるなど、精力的に活躍中。

 

 

関連記事

ニュースレター購読をすると読める、福岡伸一さんのプレミアムコンテンツ

資料請求、保険料シミュレーション、保険のプロへのご相談なら

メットライフ生命公式サイト

Posted: November 9, 2018