メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.12.1この記事の所要時間:約4分

長寿社会で求められる「3つの分野」とは?

世界が急速に変化する中、個人が資産設計や健康管理を適切に行うことは困難になってきています。先進国では、人生を左右する資産面での決断や定年後のライフプランの責任が国や企業から個人へシフトしてきており、その課題はますます大きくなっています。

そんな中、平均寿命は延び続けています。喜ばしいことではありますが、それにより誰もが経験したことのないライフプランを計画する必要も出てきます。国の社会保障制度も、より頻繁かつ多様な医療ニーズを持つ高齢者の増加への対応が求められています。

経済誌ザ・エコノミストとメットライフ生命が調査し、報告書として10月に発表した「リアリティ・チェック:健康・経済プラン・QOLが映し出す未来像と現実のギャップ」。この中でインド公衆衛生財団のジータ・セン(Gita Sen)氏が「(現代のインドでは)非感染性疾患が疾病負担の大半を占めている」と指摘します。つまり、長寿化による生活習慣病の蔓延が、これまでの社会保障制度へ新たな課題を提示しているということです。

私たち日本人もまた、これまでにない長寿社会、高齢社会へ突入しています。こんなとき、どのように生きていくべきか? 東京大学高齢社会総合研究機構の機構長も務め、本レポートの聞き取り調査対象でもあった大方潤一郎教授(以下、大方教授)にお話をお聞きました。

 

医療と経済のイメージ画像

 

健康を考えるなら経済面も考える必要がある

健康・資産設計・家族で効果的な意思決定が必要

大方教授によると、「人は年齢を重ねるにつれて健康・資産設計・家族のウェルビーイング(良好な状態)を気遣うようになります」といいます。

この3つの分野で効果的な意思決定を行うためには、判断材料となる主要指標を理解する必要があります。しかし、日本ではこの3つの教育を受ける機会がほとんどありませんでした。その結果、私たちの考えと現実との間にギャップが生まれているのです。

例えば、前出のレポートの中では、自国の将来的な経済成長率について、日本人の回答者の64%が同調査会の推計を上回る成長率を予想しました。同レポートのお披露目の機会ともなった「ジャパン・サミット2017」では、調査を担当したザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(The Economist Intelligence Unit(EIU))のアジア局長(Managing Editor)のクリス・クレイグ(Chris Clague)氏が解説した中で「日本人のGDP成長率に対する考えは非常に楽観的で、日銀が目標とする2%を上回る3〜4%という人もいた」と話すと、出席した海外の大使や要人たちから笑いが漏れる場もありました。同サミットの基調パネルディスカッションで2%の成長は難しいと国内外の専門家たちが話した矢先でもあったことから、より際立つ発表となりました。

 

EIUのクリス・クレイグ氏

 

EIUのクリス・クレイグ氏がレポートの概要を説明

経済・健康において楽観的すぎる日本人

経済において楽観的な日本人ですが、健康についてはどうなのでしょうか。同レポートによると自分にとって最大の健康不安要因を選択する質問で、全体の中で最も多くの回答者(41%)が選択したのはガンです。中でも日本人の回答に限ると、調査対象国(日本、インド、中国、韓国、マレーシア、オーストラリア、米国)で最大となる61%の回答者がガンを挙げました。この数値はガンに対しての日本人がもつ不安や関心の大きさを表していますが、裏を返せば「ガンにならなければ大丈夫」とも受け取れます。

確かに日本ではガンによる死亡者数が非常に多く、同レポートによると2番目に多い死亡原因(インフルエンザ・肺炎)の3.5倍に達します。

その一方で、「日本でも(根治はともかく)多くの癌の進行・転移を抑制できるようになっており、5年の平均生存率も全体として60%台まで向上」というような、ガンに関しての明るい材料についても触れています。

さらに国立がん研究センター理事長の中釜斉氏が「現代の癌患者は医療技術の進歩の恩恵を受け、非常に活動的な生活を送れるようになっている。治療を続けながら働く、あるいは様々な形で社会に貢献するケースも珍しくない。」とも述べています。

しかし、同レポートではガン以外についての不安要因にも触れており「厚生労働省の調査によると、癌患者が治療を必要とする患者数全体に占める割合はわずか2%だ。一方、高血圧と認知症はそれぞれ21.5%・15.3%を占めている」とも指摘しています。

日本人は死亡率の高さからガンに対して恐怖に近い思いを持っている人が多いですが、その前に生活習慣病などによって治療が必要になるケースの方がずっと多いのもデータから見えてきます。

特にガンに関心が高く、不安も大きい日本人は「ガンにならなければ大丈夫」と楽観的に考えるのではなく「いつまでも健康な心身を保つにはどうすべきか」という考え方にシフトすべき時期に来ているのかもしれません。

私たち一人ひとりが将来の選択をする時代へ

大方教授は「日本人に限らない話かもしれませんが、現代人は55歳くらいまで忙しい。先のことを考える余裕がないのです。2017年現在、未来を示せているのはせいぜい2025年くらいまでです。本来、2050年くらいまでに何を為すのか社会福祉なども含めてヴィジョンを提示しなくてはいけないのですが、誰もがそれをしていないのです」と話します。「当面の問題は現役世代が、自分たちの親の高齢化をどう受け止めていくのかでしょう。団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になるのが2025年です。このとき、現役の子ども世代がどのような体制で介護などをしていくのかで未来は大きく変わってくるかもしれません。これは、私たち一人ひとりの将来の選択なのです」。

最後に、大方教授に高齢化社会に向けて、現役世代の人たちへアドバイスをいただきました。

「セカンドライフを早くから考えておくことです。会社を辞めてからも私たちは生きていく。そのときに自分は何をするべきか? このことを早々に考えておくことが、将来の選択を誤らない一つの手ではないでしょうか」

 

 

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Posted: December 1, 2017