メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.10.20この記事の所要時間:約7分

良い習慣を増やし、悪い習慣を減らすことで脳が活性化する!

50歳を過ぎても、脳は成長させることができると言う「脳の学校」の加藤俊徳先生。前回は、脳を刺激することで人生が豊かになるというお話を伺いました。今回は、日々の習慣によってどれだけ脳を活性化できるかについてお話しいただきました。

悪い習慣をやめることも脳にとって大事。認知症リスクを減らす。

「40~50代から脳の老化は始まりますが、積極的に意識して脳を使うことで、脳はどんどん発達し、成長していきます。脳を成長させるには、日々の習慣が大切。脳に悪い習慣を減らして、良い習慣を増やす。この両方が大事です。特に、脳の働きを低下させる習慣は避けましょう」と加藤先生は言います。

確かにどんなに体に良いプラスのことがあっても、同じくらいのマイナスがあれば相殺されてしまうもの。では、どのような習慣を避けた方がよいのでしょう?
「脳にとって悪い習慣は、運動不足、肥満、喫煙のほか、糖尿病、うつ病も悪い要因となります。これらはすべて認知症になりやすいファクターでもあります」と加藤先生。

先生にその理由を尋ねると「肥満になると前頭前野の働きが低下すると言われ、考える能力や集中力が落ちます。また、うつ病になると睡眠障害を起こし、睡眠のリズムが悪いと頭の働きが悪くなります。肥満、糖尿病、喫煙、短時間睡眠は老化物質とよばれるアミロイドβとタウタンパク質というたんぱく質を蓄積させていきます」とそのメカニズムを解説してくれました。

加藤先生はさらに次のように続けます。「認知症の多くは、アミロイドβとタウタンパク質が20年かけて脳にたまっていき、脳神経細胞が死滅することで発症します。ですが、アミロイドβとタウタンパク質が蓄積されて始めても、まだ無症状なので、生活の中では気づけないのです」

先生によると、日々の生活習慣との関係が深いとのことで、「70代で認知症を発症しないよう、40~50代で悪い習慣はやめておいた方がよい。タバコを吸っていたらやめる、お酒を飲み過ぎていたら控えるなど悪い習慣をなくすことが重要ですね」とクギを刺します。40~50代に悪い習慣を断ち切る勇気。これが、長く健康に暮らすために必要なようです。

 

脳の写真を見る加藤先生

 

加藤先生はクリニックにて脳の診療も行っている

「脳にちょっと考えさせる」習慣が、人生を充実させる。

では、良い習慣とは、どのようなことを身につけることでしょうか?
「できるだけマンネリ化させないこと。右利きの人は左手を使うようにするとよいですよ。なぜかというと、右利きの人は右手を使うため左脳が鍛えられていますが、あまり使っていない左手を使うと使っていない右脳が鍛えられます。利き手ではない左手を使うだけで潜在的な能力が開発され、ポテンシャルが広がります。左利きの人はそもそも両利きのことが多いのですが、もちろん右手を意識的に使うことで左脳が鍛えられます」と加藤先生。

右利きの人が左手を日常的に使うようにするのは難しそうですが、何をしたらよいのでしょうか?
「歯磨きを左手で行うのはいかがですか。または、ドアを開けるとき、靴をはくとき、ガスのスイッチをひねるときも左手で行う、左手で箸を持って食べる、左手で字を書く……そんな小さいことでよいのです」とすぐにできることを紹介してくれました。

行うのに数秒もかからない小さなことでよいそうです。ですが、なぜそれが脳に良いのでしょうか?
「例えば、電気を消すのに、いつもと反対の手を使おうとすると、一瞬、考えますよね。この一瞬考えるというのが、すごく大事です。瞬間に考え直して、判断する……ということで脳がマンネリ化しないのです」とその理由を解説。

その根拠として次のように続けます。
「逆に、無意識に電気を消している場合は、行動が自動化されています。自動化されていることは脳がよく知っていることなので刺激されませんし、新鮮だとも思いません。今までと違うことに脳は新鮮さを味わうのです。それが脳を成長させていきます」

たとえば、会社の帰り道に普段と違う道を通ったり、買い物でスーパーに行ったら、出口から歩いてみたりするなども良いそうです。いつもと違う景色が見えたとき、「あれ、これってどうするんだろう?」と脳が考えることが良いのだとか。

「もう一度改めて考えなくてはいけないことがあると、マンネリ化しません。
すぐできることは脳が知っていることなので、労力の省エネにはなるのですが……」と加藤先生。
一見、省エネである状態がよさそうな気がしますが、脳にとっては良くないのでしょうか?
「たとえば、算数の問題が解けないとき、ずっと考えますよね。考えているときは、脳の同じ場所で考えているわけではなく、脳の中の別の場所を探しているんです。1+1=2というのは脳が考えなくても答えが出ます。ところが、35-7=……と言われると、ちょっと考えます。早く答えが出るものは、使う脳の場所が決まっており、決まった場所を刺激するだけなので使う脳の場所が限定的になります」と加藤先生は脳の刺激について触れます。
「脳を使う部分が限定的なので疲れないかもしれないけれど、脳の刺激としては足りないのです。他の脳の部分を探して使う行為が、マンネリ化を防ぎます。たとえば、両足を使って新聞を四つ折りにたたんでみてと言われると、どうやってするの? と思いますよね。それがいいのです」と加藤先生は、普段全くやったことがないことが良いと言います。
「どうやってするんだろう?」「どうすればいいんだろう?」と考え始めることが脳の成長として大事なんだそうです。

その効果ですが、どのくらいで変化が分かるのでしょうか。「1か月で効果は出ますが、3~6か月あるとさらによく分かります。行動スピードが早くなったり、思っていることを人に説明できるようになったり、言われる前に行動できたりして、認知症の予防にもなります」と加藤先生は認知症予防にもつながるとアドバイスしてくださいました。実は脳を遊ばせないような習慣をつけることが、充実した40〜50代につながるようです。

継続は力なり。生涯続ける趣味が脳のベースをつくる。

左手を使う習慣のほか、楽しい趣味などで脳を刺激するものはあるのか、加藤先生に聞いてみました。
「人間の脳にとって持続も大事ですので、生涯続けられる趣味があるといいですね」と趣味が良いとしながらも、次の点を指摘します。

「定年して悠々自適な生活を送ることに憧れますが、実は、これが問題です。悠々自適な生活そのものは悪さをしていないのですが、それだけしかしない生活だと、働いていたときに脳を使っていたエネルギーが半分以下に減ってしまうのです」

なぜそのようなことになってしまうかというと「それまでは脳を10割使っていて、悠々自適な生活になって3割くらいしか脳を使わないと、7割は脳が遊びます。遊ぶとは脳が休むということ。7割休ませるのが4~5年続くと、その7割は動かなくなります」と加藤先生は言います。「ですから、続けられる趣味を持っていた方が絶対に良いです。脳が働くベースを作りますので」

それでは、勝負事、駆け引き、ゲームなどは脳にとってどうなのでしょうか。 
加藤先生によると一長一短だそうで「勝負事で脳に報酬を与えるのは適度に必要です。ですが、繰り返される報酬はアディクション(依存性)につながりやすい。どちらかというと、他力を使わない動機を自分に与えていく方法がよいですね。『絵を描いて楽しいよね』『自分自身の発見や成長が面白いよね』といった自己完結できるような動機です」ということなので、趣味選びも重要になります。
では、他人と争わず、あまり体を動かさない趣味、たとえば盆栽などはどうなのでしょうか。
「盆栽は良いですね。手を動かす、目を動かす、自分で鉢を動かす、毎日世話をするなど、脳のいろいろな場所を使う。特に視覚を使うのが良いです。人間は視覚を使わないと衰えていく動物。部屋に引きこもって、見る風景が変わらないと考えるしかない。考えても答えがなくて悶々として、自分の中で思考が完結してしまうのです。その内、人の話を聞かなくなって、耳からも新しい情報が入ってこなくなり、どんどんと脳が働かなくなっていきます」と加藤先生。

 

盆栽をしている様子

 

加藤先生によると盆栽のような手作業は、
見ることと手を動かすことを同時に行うのでとても良いそう

ということは、外に出て散歩することも脳に良さそうですね。
「はい。次々と変わる風景を見ることで、脳は刺激を受けます。また、できるだけ外に出て、朝日を眺め、夕日を眺める。この1日の自然なサイクルを体感しないと駄目なんです。体内時計がずれて、昼夜が逆転している人はどんどん衰えていきます」と自然のリズムに合った生活はもちろん大事であると加藤先生は言います。悪い習慣を断ち切り、今までしなかった新しいことを日々行い、生涯続けられる趣味を持つこと。この両側面の習慣が第2の人生をさらに楽しく過ごすカギとなりそうです。

 

脳を活性化させる良い習慣・悪い習慣のまとめ

 

<加藤俊徳先生のプロフィール>
新潟県生まれ。医師/医学博士/脳科学者。株式会社「脳の学校」代表。加藤プラチナクリニック院長、昭和大学客員教授。日本・米国で胎児から100歳の高齢者まで延べ数万人に及ぶMRI脳画像を分析し、脳の成長原理を見い出す。脳の学校では、脳を一生元気に保って楽しく生きる新しい人生観や文化を創造することを目指し、脳の健康を保ち、能力を向上させるためのアドバイスやトレーニングを提供している。「老けない脳をつくる生活習慣」(宝島社)、「聞くだけで記憶力が上がるCDブック」(宝島社)など著書多数。

 

加藤先生

 

 

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Posted: October 20, 2017