メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.10.27この記事の所要時間:約5分

「なんとなく気分が晴れない」「集中力が続かない」など、漠然とした身体の不調(不定愁訴)だけでなく、脳の老化を招いて認知症の原因にもなるという「脳疲労」。今回は、疲労のスペシャリスト・梶本修身先生に「脳疲労」を科学的に予防するための食事法を伺いました。

“脳疲労”の予防に……鶏むね肉が何よりおすすめの理由

前回、あらゆる不調の原因は「脳疲労」にあるという話を伺い、それを“回復”するための睡眠法をご紹介しました。今回、梶本先生に伺ったのは、「脳疲労」を“予防”する方法について。先生によると、そのカギは食事にあるのだとか。

 

「脳疲労」についてお話を伺った梶本修身先生

 

「脳疲労とは、脳で発生した活性酸素によって脳が本来の調子を失ってしまった状態のことを指します。いわば脳が“サビついてしまった”状態なのです。
脳が“サビる”原因である活性酸素は、自律神経が酷使される昼間の活動中に増加します。普段の食事で“サビ”を予防することが重要です」と梶本先生は話します。

疲労の回復や予防のための食事といえば、土用の丑の日にウナギ、スタミナのつくにんにく料理などが思い浮かぶのではないでしょうか。また、ここぞと言う時は、エナジードリンクに頼る人も多いでしょう。

しかし、これらの疲労回復効果は、科学的に実証されているものではない、と梶本先生。

「例えば、疲労回復効果が証明されているエナジードリンクはひとつもありません。エナジードリンクの中に含まれる、カフェインの覚醒作用やアルコールの気分高揚作用によって“疲労感”を紛らわしているだけで、実際の疲労は回復されていないのです。本当は疲れているのに、疲労を感知できないことは、むしろ危険な状態と言えます」

これまで常識とされてきたことが、エビデンス(科学的実証)によって間違いだと解明されてきていると梶本先生は話します。先生によると、脳疲労の回復には鶏のむね肉が効果的であることが、疲労に関する実験で分かってきたそうです。

「鶏むね肉には、自律神経の中枢神経細胞で抗酸化力を発揮する『イミダペプチド』という成分が多く含まれ、疲労回復に効果があることが判明しています。また、日中の活動によってどんどん蓄積する活性酸素に対し、持続的な抗疲労効果を持つことが分かっています。1年のうちに3万kmも移動するといわれる渡り鳥が長時間飛び続けることができるのも、羽を動かす筋肉の胸肉に、イミダペプチドを多く含んでいるからと言われます」と梶本先生は話します。

同様に、回遊魚のマグロやカツオにも、尾びれ付近にイミダペプチドが大量に含まれていることが分かっています。

「脳疲労を軽減させるためには、『イミダペプチド』を1日に200㎎摂取することを推奨します。鶏むね肉なら、100グラムに相当します。まずは、2週間ほど継続して食べてください」と梶本先生は話します。

 

イミダペプチドを1日に200㎎摂取することを推奨

 

鶏むね肉は次のような食べ方がおすすめだと教えてくれました。

・イミダペプチドは加熱に強く安定的なので、鶏むね肉を蒸したり、茹でたり、焼いたりと好みの調理法で食べる。

・イミダペプチドは水溶性なので、蒸す、茹でるなどしたときはスープも飲むと良い。

牛肉や豚肉にもイミダペプチドは含まれていますが、鶏むね肉に比べると含有率は低めです。鶏肉は低脂肪・低カロリーの理想的なタンパク源。健康志向ブームに湧くコンビニに並ぶ「サラダチキン」なども活用して、手軽に常食することが、ダイエットはもちろん「脳疲労」の予防にもつながりそうです。

アルコールは飲めば飲むほど脳疲労

かつては、“適度な飲酒は寿命を延ばす”と言われていたアルコール。しかし、最新の研究によると、アルコールは疲労の原因になる、というのが定説のようです。

「アルコールで疲れを払拭できるという方もいますが、それはアルコールが自律神経の中枢を麻痺させているから。実際は、肝臓でアルコールが代謝される際に活性酸素が生じるので、飲めば飲むほど脳疲労が溜まってしまいます」と梶本先生は話します。

特に気をつけたいのが寝酒です。寝付きが悪いからといって、就寝前の飲酒が習慣化してしまうことは、睡眠を阻害し、自律神経の回復タイミングを逃してしまうことに。

「お酒には、精神的なストレスを軽減したり、コミュニケーションの場に必要になっていたりと、良い面もあるのも事実です。完全に断つことは難しいので、飲み過ぎに気をつけることはもちろん、少なくとも就寝の3時間前には飲酒を済ませるなど、上手に付き合っていくことが大切です」とのことです。

質ではなく、食事の時間を豊かにすることが食事量を減らすカギ

また、配慮したいのが食事の量とスピードです。

「フレンチや日本の会席料理は、時間をかけてコース料理を食べるので、大した量はなくても満足感が得られます。物理的に胃が膨らまなくても、ゆっくりと食事を取ることで血糖値が上がり、満腹中枢が満たされるのです」さらに、梶本先生は次のように続けます。「食事の摂り過ぎは、消化のために内臓が活発に働き、自律神経が酷使されます。常に腹8分目の量を心がけ、特に夕食は食べ過ぎず、自律神経が休まる環境を整えてあげてください」

食べ過ぎを防止するためには、普段から家族とともに食事を取ることが重要だと言います。

「夕食は、家族みんなでコミュニケーションを取りながら、ゆっくりと食事をする豊かな時間とすることで、就寝時の負担を軽減させることにつながります」

“脳疲労”を溜めず、生涯現役でいるためにできること

脳疲労は、夜の睡眠による“回復”と、昼の食事による“予防”の2本立ての対策が大切だと分かりました。

 

 

睡眠と食事のイメージ

 

より良い老後のために、脳疲労についてできることとは?

また、「脳疲労」を知るためには、「自分の“快か、不快か”という感覚に、素直になることも大切です」と、梶本先生。「例えば、“飽きた”という気分は、脳が疲弊し、これ以上酷使しないでくれとサインを発している状態なのです。このように、自律神経に負荷がかかった状態では、身体が生態アラーム(危険信号)を鳴らすことがあります。例えば、いつもは歩く距離なのに、タクシーに乗りたいと思う時。好物の箸が、なんとなく進まない時……こうした自分の身体の声に注意深く耳を傾けることが、自律神経を守ることにつながります」

梶本先生は続いて次のように教えてくれました。「第一線で活躍するトップアスリートは、こうした第六感を大切にし、自然と脳疲労の予防や回復を行っているのです。すぐに引退してしまう人、長く活躍し続ける人の違いは、自分の「脳疲労」をマネジメントできるかどうかが分かれ目だと言えるでしょう」

まだまだこれから先の人生をより良く生き、“生涯現役”でいるためにも、「脳疲労」の回復と予防について、今日から考えてみてはいかがでしょうか。

<梶本修身先生プロフィール>

 

東京睡眠・疲労クリニック院長、梶本先生

 

東京疲労・睡眠クリニック院長。
大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授、大阪大学大学院医学研究科卒業。医学博士・医師。著書に『なぜあなたの疲れはとれないのか?――最新の疲労医学でわかるすっきり習慣36』(ダイヤモンド社)など多数。中でも『すべての疲労は脳が原因』(集英社)は累計15万部を突破するベストセラー。

 

 

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Posted: October 27, 2017