メットライフ生命「#老後を変える」編集部 2017.12.1この記事の所要時間:約6分

年末になると駆け込みでの申し込みが増える「ふるさと納税」。利用されている方も多いかと思います。2015年(平成27年)には、特例控除額の上限が2倍になるほか、確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」がスタートし、さらなる盛り上がりを見せています。2016年(平成28 年度)の寄付金総額は、2,844億円にも上りました。

ふるさと納税をきっかけに地域の問題を考えてみる

ふるさと納税は、応援したい自治体に自分の意思で納税できる制度です。寄付先の数や金額、回数の上限はなく、控除上限額内であれば実質2,000円の負担で複数の地域を応援できます。ふるさと納税を行って確定申告をした場合、当該年の所得税からの還付、並びに翌年度の住民税からの控除を受けることができます。寄付されたお金の使い道は、ほとんどの自治体が事前に設定しており、例えば「子育て支援」「環境保全」「震災復興」などがあります。

自分の出身地だけでなく、震災で被災した地域への復興支援なども含めて「その地域のために何かしたい」というニーズが増えた結果、多くの人たちが利用を始めているのが、ふるさと納税なのです。

ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクの田中絵里香さんは、「ふるさと納税とは、納税する人が寄付という形で、その地域の発展や問題解決に貢献できる制度です。さらに『お礼の品』がある場合は、その魅力に触れることでより地域を応援したいという気持ちが湧き、さらなる地域活性を促すことにもつながります」と説明します。

 

トラストバンクの田中絵里香さん ふるさと納税が地域を活性化すると語る田中さん

 

総務省が発表した「ふるさと納税に関する現況調査結果(平成29年)」によると、ふるさと納税の受入額および受入件数が増大した主な理由として、「返礼品の充実」「ふるさと納税の普及、定着」を挙げる団体が半分以上を占める一方、「使途、事業内容の充実」「震災・災害への支援」と回答した団体が大きく増加しています。

お礼の品をきっかけにV字回復した伝統工芸品産業

お礼の品として人気なのは、やはり肉・米・果物類・魚介類。例えば、山形県天童市ではさくらんぼやラ・フランスが人気です。「おいしかったと言ってリピートしてくださる方も多い」と話すのは天童市総務部ふるさと納税推進室・室長補佐の高橋哲也さん。ふるさと納税は、出品者と寄付者を直接つなげることができるのも特徴の一つです。そのため、農家はお客さまの反応をダイレクトに知ることができるのです。お礼の手紙や連絡などのコミュニケーションが生まれるケースも少なくありません。お互いの交流を通して、農家は良い物を生産したいというモチベーションが高まり、寄付者はより深くその地域を知るきっかけにもなります。

 

天童市総務部ふるさと納税推進室・室長補佐の高橋哲也さん 寄付により天童市が変わったという高橋さん

 

また天童市といえば、果物類のほかに日本一の将棋駒の生産地としても有名です。全国シェアは約95%にもおよび、「天童将棋駒」は伝統的工芸品にも指定されています。

“寄付に対し形に残るお返しをするのと同時に、地域の伝統工芸を復興させたい”と考えた天童市は、市外在住で1万円以上の寄付をした方の中から希望者に対し、将棋駒の名入れストラップをプレゼントすることにしました。すると、職人の技が凝縮した世界で一つだけのストラップとして話題となり、ピーク時には8ヵ月待ちになるほどの人気となりました。これにより伝統工芸の継承多くの問題を抱えていた天童の将棋駒産業も、今では2013年(平成25年度)の2倍以上の規模になりました。後継者育成についても地元を巣立った若者が脱サラして跡を継ぎに帰ってくるほか、新規受講生が倍増するなどのV字回復を見せています。まさに、寄付が地域を変えたのです。

「さらにうれしかったのは、市民の皆さんが自分たちの町に誇りを持つようになったことです。またふるさと納税を活用し、新しい取り組みにもチャレンジしやすくなりました。現在は、クラウドファンディングで寄付を募った、“新しい飾り駒”を開発するプロジェクトが成功し、製作段階に入っています」と、高橋さんは笑顔を見せます。

「お礼の品」をきっかけとした寄付金が結果的に地域を元気にし、職人の育成にもつながっていました。

寄付金の使い方に意思を反映できる、ふるさと納税の方法

残念ながら、一部ではお礼の品の豪華さでの競争が起きているのも事実です。ふるさと納税制度は地域が持つ「魅力」を知り、税金をどう活用するかを考えるための仕組みのはずです。豪華な「お礼の品」のお得さだけで寄付を行う地域を選んでしまうのは、少しもったいないかもしれません。

ふるさとチョイスの田中さんは、「どの地域に納税をすべきかを迷ったときは、お礼の品からではなく税金の「使い道」から選ぶのも一つの考え方です。ふるさとチョイスでは、使い道に特化した『ガバメントクラウドファンディング』というサイトがあります。これは、自治体が行うクラウドファンディングで、プロジェクトオーナーはすべて自治体なので安心して参加できます。もし目標額に達成しなくても、集まった資金は返金されず、そのままプロジェクト資金に充てられます。大きな反響を呼んでいる事例としては、東京都文京区の『命をつなぐ「こども 宅食」で、1000人のこどもと家族を救いたい!』や、広島県神石高原町の『広島から全国へ!殺処分0にご支援を』などがあります」と話します。

以前は、犬の殺処分ワースト県だった広島県ですが、このプロジェクトにより2016年4月以降、殺処分ゼロを維持しています。さらにこの流れを全国へ広げようと、今回のプロジェクトがスタートしました。目標額は、なんと10億円。大きな目標に感じますが、それでも前回の賛同者が参加するなどして、多くの寄付金が集まり始めています。

加えてホームページ上で随時活動報告が更新されるほか、寄付者向けにも中間報告会が開催されています。このように寄付金の使い道を明確に提示することで、利用者が安心して寄付できる仕組みとなっているのです。

まだまだある全国の面白いふるさと納税、実際にどう選ぶ?

全国には1,788自治体があり、お礼の品は15万点以上(共に2017年11月2日現在)もあります。各地域が用意した「お礼の品」や「寄付金の使い道」にはそれぞれ固有の魅力があるため、いざ寄付をする地域を選ぼうにも、迷ってしまうでしょう。そこで田中さんに、選び方のコツを伺いました。

「お礼の品として欲しい品目が決まり、次にどの地域にしようか迷ってしまったときは、寄付金の使い道で判断する以外にも、自治体の状況を調べてみるのも良い方法だと思います。地域名をクリックし『使い道と街について』を開くと、使い道のほかに人口や高齢化率、過疎状況、財政についてなども知ることができます。その情報をもとに、より支援したい自治体を探してみるのも良い方法ではないでしょうか」

地域の魅力を知ってもらうため、自治体も新しい「お礼の品」を提供し始めています。特に最近は人々の関心がモノからコトへ変化していることもあり、体験型のお礼の品も人気となってきています。例えば、長崎県佐世保市の『九十九島満喫コース2.5時間(寄付金額 /50,000円)』は、おもてなしと佐世保観光案内のプロ「海風の国観光マイスター」のタクシードライバーが街を案内してくれます。また、佐賀県鹿島市の『むつかけ名人に弟子入り体験(寄付金額/15,000円)』は、干潮時に干潟の上で活動するムツゴロウに針をかけて捕る伝統漁法で、現在では数名しかいないと言われる「むつかけ師」から直々にむつかけ漁を伝授してもらえます。

そのほかにも『お墓掃除・管理サービス代行』や『先進医療都市久留米であなたの体を徹底チェック』など、全国にはユニークなお礼の品がたくさんあると気が付きます。モノを受け取るのとは別の形でさまざまな地域を支援することは、雇用創出にもつながるかもしれません。

「最初のきっかけは、お礼の品の魅力やユニークな取り組みへの興味で良いと思います。その中で少しずつ地域との交流が生まれ、今よりも人生を豊かに感じてもらえるようになれたら嬉しいですね」

年末には駆け込み需要で欠品となってしまうお礼の品も多いそうです。今のうちから、ふるさと納税を活用して税金の使い方を考えてみてはいかがでしょう。

 

 

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Posted: December 1, 2017